とあるきっかけで業務未経験の方に向けてWeb制作の実務を教える機会をいただくことになったので、制作会社に約8年在籍していた経験(※ 1)を元に、企業が求める業務未経験のウェブデザイナー・コーダーの人材像を考えてみました。
※ 1 … 印刷会社のウェブ部門に約5.5年・デザイン制作会社のウェブチームに約2.5年在籍。
【結論】制作会社が欲しい業務未経験の人材像
- 【スキル】日常的に行われている画像やテキストの差し替え・スタイル修正ができること。
- 【スキル】ページや簡単なサイトを新規構築することができること。
- 【資質】置かれている状況や環境の変化に対して、ポジティブかつ率直であること。
制作会社の日常業務
Web関連業務を行っている企業において、日常的に行っている保守・運用・制作業務は以下のようなものだと思います。
- 既存案件のページ内の情報更新・バナー更新・スタイルや文言修正
- 既存案件のサイト更新(CMSアップデート 等)
- 既存案件の新規構築(サイト・ページ)
- 既存案件の機能開発
- 新規案件の新規構築(サイト・ページ)
ポータルサイトを運用しているような場合は、サイト内のバナー更新や新着情報の追加など、広告運用を行っているような場合は、出稿している広告の更新やスタイル・テキストの修正など、WordPressといったCMSでサイト運用を行っているような場合は、WordPressのコアアップデートやプラグイン・テーマのアップデートなどの業務があります。
上記業務リストの内容は下に行くほど作業の難易度は高いものになっていきますが、既存案件の簡単な更新でさえ、業務未経験の人材には難しく感じてしまうものです。
※ 既存案件の簡単な更新でさえ業務未経験の人材には難しく感じてしまう理由 … ①案件自体のクセ、②明文化されていない案件のルール、③明文化されていない会社・チームのルール、④そもそも前提となる業務に対する理解 などがあると思っています。詳しくはまた別の機会に。
業務未経験の人材に求められる業務内容
こうした業務が行われている企業において、業務未経験の人材に任せる仕事としては以下のようなものが考えられます。
- 簡単なページやバナーの更新、テキストやスタイルの修正 など
- ページや簡単なサイトの新規構築
既存案件にアサインして機能開発を行ったり新規サイト構築案件に積極的にアサインするような、業界未経験の人の登用に積極的な企業もあるようです。
いずれにしても業務未経験の人には比較的簡単な業務をしながら作業に慣れてもらい、できることを増やしながら担うことができる役割を大きくしていくことが求められます。
業務未経験の人材に求められる「スキル」以外の重要な資質
専門学校や職業訓練校、オンラインスクールで学ぶことができる「スキル」としてのウェブ制作技術が重要なことは言うまでもでもありませんが「スキル」としてのウェブ制作技術と同じくらい重要な資質もあります。
- 必要に応じたコミュニケーションを取ることができる。(ロジカルシンキング)
- チームや同僚が使っている用語が分かる。
- 新しい技術・トレンドや変化に対してポジティブ。
これらはチームとして「円滑に」「効率的に」業務を進めていくために必要な要素です。
業務に慣れ親しんでいる先輩や同僚にとって「前提」となってしまっている専門用語や情報の格納場所・アクセス権限、作業手順などは(業務経験がある場合でも)新しく入ってきた人にとって分かりづらいものが多いでしょう。
また、せっかく覚えた作業手順についても、ライブラリやフレームワークのアップデートに伴う機能の更新などで覚え直したり、新しいものを学び直す必要が出てくることもあります。
いずれにしても、置かれている状況や環境の変化に対して、ポジティブかつ率直なスタンスでいることは、自分自身の身体と心を保つ意味でもとても重要です。
無事に就職して業務を覚え、仕事に慣れて忙しくなればなるほど「(社内外を問わず)一緒に仕事をする人」や「仕事そのもの」に対してポジティブかつ率直な姿勢でコミュニケーションを取っていくことの重要性は増していくでしょう。